8.16.2010
借りぐらしのアリエッティ、観てきました。
話題の映画、借りぐらしのアリエッティ、観てきました。
割引チケットを使って1000円で観たのですが、定価で観なくて良かったというのが率直な感想です。
以下、ネタバレ含む感想なので、それでも良い方だけどうぞ。
いくらか思うところはあるのですが、今回の映画は、はじめの着想と思われる「借り」と「狩り」をかけたまではよかったものの、その後の発想が続かなくて、すっかり破綻してしまった駄作であるように見えます。
破綻は所どころに見ることができ、中でも一番気になったのは尺度です。
アリエッティは小人という設定で、ラストシーンやその他のおおきさ比較ができそうなもののサイズから、16センチメートル程度の身長を想定しているのではないかと思います。
けれども、その割に「借り」に行く時の足場として使っていた釘や鋲、髪の毛を束ねるのに使っていた洗濯バサミ、ローリエやシソの葉っぱといった周辺オブジェクトとの大きさの尺度が、場面場面によってちがっているのです。
これによって、アリエッティの身長を一定と見れば周辺オブジェクトの大きさがおかしく見え、逆に周辺オブジェクトのサイズが正しいとすれば、場面によって身長を含む、体の大きさがコロコロ変わる、変なキャラクターになり下がっています。
これは、物語の世界観を適当に壊していて、観ていてなんとも形容しがたい、気持悪さを感じました。
次の破綻が、世界の狭さです。
物語は基本的に、床下、少年の部屋、やしきの台所、庭の4箇所で展開されます。
2時間ほどある物語の舞台が、たった4ヶ所です。
しかもそれぞれの舞台が変化に富んでいるわけでもなく、なんて狭い物語なんだろうと思ってしまいました。
アリエッティ達が小人だというのはよく理解できますが、だからといってなんの変化もない、狭い世界を設定する必要は無かったでしょう。
(このあたりは、以前にトイ・ストーリー3を見て、舞台の数は少なくとも、変化に富む様々なシーンを体験したことに起因する感想かもしれませんが。)
三つめの破綻が、物語の意外性の無さです。
物語は一辺倒で、抑揚もなく、感動も、ハラハラも、ドキドキも、何もない、ただの動画のたれながしになっていました。
セリフもそれほど多くなく、はじめは「動画で魅せる演出」なのかとも思いましたが、結局物語が終わるまで、魅せられるシーンはひとつもありませんでした。
ストーリーはすべて「小人が人間に見つかって、引っ越す。」という一言に収まってしまうほどチープで、これでお金儲けをしようとしているのか?と疑いたくなってしまいますし、作品を作っている面々は、知的職人として、本当にこれでお金を取ることに、なんのためらいも無いのだろうか?と感じました。
唯一よかったのは絵での自然界の描写ですが、これはイメージボードなどで楽しめます。
そんなものを楽しませるなら、別にアニメ映画である必要はないです。
トイ・ストーリー3が、定価以上の価値があると思った反面、こちらの日本映画は割引で見ても高いと思わせる作品でした。
これから観ようと思っている方は、なんとなくそんなトコロを注視して見ると、僕の感じたことがわかるかもしれないです。
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