読んだのはこちら。
タイトルにあるTOEICとTOEFLは、確かに本文中、随所でその試験内容の詳細に触れた議論や、試験問題の例などが出てきますが、書籍全体を通して「英語系検定試験」の代表として挙がっているだけで、なにもこの二つの検定だけの話をしている書籍ではありません。
内容はシンプルで、TOEICやTOEFL、およびそれに類する英語系の検定試験についてざっと解説をした後、日本人の英語力の弱点や、英語教育のあり方、アジア諸国をはじめとした、英語を母語としない外国との比較によって、なぜ日本人のTOEFLスコアが低いのか?なぜ日本人は英語が苦手なのか?を詳細に議論しています。
様々な参考資料に支えられていることもあってか、内容がしっかりしていて、それでいて文章の論理構造が明快なので、面白いエッセイを読んでいるような気分になりました。
「道具としての英語」ではあまり意味がないという結論も、なかなか説得力があります。
調査や比較の際に出される数字、およびその手法に付いては若干疑問符が残るところもあるものの、一貫して「英語系検定試験を受けるのが当たり前」の世の中への警告とも言うべき事柄が語られていて、大変興味深かったです。
2002年刊行の書籍ですが、それから10年近く立つ現在でも内容は色あせておらず、当時と大きく変わりない、現在の状況に危機感すら覚えました。
英語力を上げたい!と思っている方はもちろんのこと、各種検定の内容や実態を知りたいとか、専門家は本当に役立つ英語がどんなものだと考えているのかに興味のある方は、一読する価値があるでしょう。
ボリュームも小さく、よくまとまっているので、ちょっとした空き時間に読むのもおすすめです。
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