8.31.2010

読書

引越し先が決まり、転居も秒読み段階に入りました。
どうも社会人です。

DistroFreakの更新等、滞っていて大変申しわけないデス。
そんな中でも読書はしているので、ポストしておきます。




今回読んだのは、伝承農法を活かす家庭菜園の科学なる書籍。
内容は「伝承農法」に分類される農法が、科学的にどのような効用があって、どうやれば家庭菜園に応用できるのか?といったものが主体です。

科学とはいえ、難しい数式や理論のたぐいは皆無で、「XXによってこういう報告がなされている」といった、科学的/学術的文献に論拠をおきつつも、それ以上は深入りしない、趣味で農業をやる人たちに受け入れられやすい、非常に丁寧な書き方がなされています。

一般にタブーとされている方法を家庭菜園に応用して収獲を増やそうとか(もちろん、実験的な裏付けを示してくれています)、効果的な野菜の保存方法や採種のやり方など、農業の入門書+αとして、大変役に立つ内容だと思います。
「家庭菜園をはじめてみたけれど、思うようにいかない」とか、「普通のハウツー本よりも、もっと全般的に通用する、ごく基本的な知識がほしい」と思っている方におすすめできます。

ただ、残念ながらプランター菜園派の人に取っては、使える内容がそれほど多くなく、本書の内容を自身で吟味しながら応用する必要があります。

家庭菜園をやる上での標準的な教科書として利用する他、伝承農法の意味や、農業で一般にタブーとされている行為がなぜダメで、どうやれば収獲につながる形にできるのか?といった純粋な知的好奇心を満たしてくれるという点でも、優れた書籍です。

文体はやや教科書的ですが、ガチガチの書籍ではなく、研究者の講演会を聞きに行っているような、優しい語り口の、それでいてしっかりした文章で、だれにでも読みやすいものではないかと思います。

家庭菜園をやっていたり、農業に興味があるならおすすめできる一冊です。

8.21.2010

読書。


忙しいとはいいつつも、読書はしてます。
どうも。社会人です。
今回読んだのはコレ。



ロシア人天才学者、ペレルマンによって解決されたポアンカレ予想に絡んで世界の注目を集めている、クレイ数学研究所の出した、懸賞金の付いている数学の7大問題(現在は6大問題)――通称ミレニアム賞問題を取り上げた書籍です。

Amazonではそれなりに評価が高いようですが、あまりにも説明がヘタクソ過ぎると思います。
「高校生に理解できる」がブルーバックスサイドの要求であって、それ故に数学的厳密さに欠ける所が……などといい訳をしているようですが、この説明のヘタクソさは、それ以前の問題です。

全ての章に共通して言えるのが、カッコによる補足の多さです。
それが話をあっちへ脱線させ、こっちへ脱線させ、読んでいる人の頭のなかを引っ掻き回していきます。
かといって、カッコを飛ばして読んでみると、今度はあまりにも薄っぺらな中身で、概要すら掴むことができません。

本来ならば、このカッコの中の情報と、外側の情報とをうまく共存させるのが説明ってモンだと思います。
それが、この書籍ではまったくうまくいっていません。

さらに感じたのが、筆者自身、問題のやそこで使われている数学的概念の意味を理解していないんじゃないか?という疑問です。
例えばポアンカレ予想の項では、ポアンカレ予想が何を言いたいのかの解説については、まるでどこかの参考書を棒読しているような内容で、これでは到底高校生は理解できないでしょうし、もし筆者自身がよく理解しているならば、こんな説明の仕方はしなかったでしょう。(この分野の人ならば、様々な映像資料であるような、もっとうまい例え方をしているでしょう。)

4次元以上のポアンカレ予想に付いての証明も、延々と「こうなります」という事実を並べているだけで、なぜそうなのか?という本質に付いては解説していない点が気になりました。(もっとも、3次元のポアンカレ予想が解決されていない時の話であるから、なぜそうなのか?を解説するのは、非常に骨の折れる仕事だろうとは思う。)

全体的にこんな調子のうえ、物理学の要素が入ってくるヤン=ミルズ理論の話や、ナビエ・ストークス方程式の話などは、その問題の全容をイメージすることができないくらいでした。
(先ごろ読んだ南部博士/小林博士それぞれによる書籍では、難しいながらもゲージ場の様子をイメージできたが、この書籍では何を言っているのかちんぷんかんぷんだった。ナビエ・ストークスについては、大学で長い事触れてきた方程式であるのに、本書の解説からは式の言いたいこと、ミレニアム賞が解決することによって与えられる意味が想像できないほどであった。)

もし筆者が本当はこれらの問題をちゃんと理解しているならば、7大問題の解説のために、この程度のページ数しか与えなかったブルーバックス側の問題でしょう。

本当はもっと疑うべきでした。
なにしろ、7大問題を扱っている(しかも、高校生程度の数学力でわかるように解説したと豪語している)にも係わらず、200ページもない書籍なのです。
これは、単純計算で、ひとつの問題に付いて28ページも無いという事です。

世界の数学者がよってたかって理解しようとしている問題の解説であるにも係わらず、30ページに満たない量の文章で私家解説されていないのです。

これは、もとよりこれらの問題についてある程度知っているなどといった前提知識が無ければ、まず理解することは不可能な文章量でしょう。
(加えて、最初に書いたカッコによる思考の右往左往があるわけですから、理解は更に困難になります。)

更に恐ろしいことに、この少ない解説ページの一部を、本題とは関係のないところに使っている場所が散見されます。
例えば、量子コンピュータを使ってP=NP問題の解決が図られていると一言欠けば済むところを、量子コンピュータを使うとこんなにすごい事が云々……と書いている当たりに、この筆者か元より解説するつもりなどなく、ただ知識をひけらかしたいだけなんじゃないかと疑ってしまった場面もありました。

と、こんな具合に少なくとも私の肌にはまったく合わなかった書籍ですが。
Amazonではそれなりに高い評価を得ているようなので、興味があれば読んでみると良いでしょう。
まがりなりにも、いい本をたくさん出しているブルーバックスによる書籍ですから。

8.18.2010

読書

ジーワジーワとけたたましいセミの声が響く季節もそろそろ終りを迎えそうな時節です。
いかがお過ごしですか?どうも。社会人です。

最近本を読めていないなぁと想いつつ、ちょっと興味のあった一冊を読破しました。
読んだのはこちら。




少し前にTHE COVEというイルカの捕殺シーンばかりを強調した映画が公開され、アカデミー賞でもそれなりの評価を得るという事態から、国内でも捕鯨への関心が強まっていると思います。

かねてより書いている通り、私は海好き、海洋生物好きなので、ぜひCOVEも見たいとは思っているのですが、そのまえに国内における捕鯨文化とはどのようなものかを押さえておこうと思い、本書を手に取りました。

本書で扱っているのは、鯨で有名な町、太地の捕鯨活動で、タイトルに出て来るイルカは、鯨類一般を含めたイルカの事です。
太地で捕られる主な鯨類が、ゴンドウと呼ばれる鯨の一種であるため、水族館で見るイルカをイメージしながら本書を読むと、違和感を感じるのかもしれません。

内容は太地での捕鯨体験からスタートして、捕鯨の流れ、捕鯨の歴史、国際的批判への反論、捕鯨に対する筆者の持論などが書かれています。
文章はよく整理されていて、トピックごとに細かくわかれており、電車に乗っている間などのこまぎれの時間でも、効率的に読みすすめることができました。

ただし、文章そのものはあまり上手ではなく、何箇所か読みにくさを感じる部分もありましたので、文章の書き方が好きでない、馴染めない方に取ってみれば、そう言ったところが読みすすめる上でのつまずきになるかもしれません。

さて、内容に対しての感想ですが、捕鯨という文化が日本にあり、捕鯨文化を守るために、今しなければならないのは、南極海の調査捕鯨を継続することではなく、日本近海で行われる沿岸捕鯨文化を守るための活動ではないのか?という意見には、私も賛成です。

また、THE COVEが捕鯨という活動のごく一部、捕殺シーンだけを執拗に集めた映画であり、それは捕鯨活動を世界に伝えることにはならないというメッセージも読み取れました。
筆者が伝えたいのは日本の捕鯨活動全般であって、一部分だけがクローズアップされた、話の種として使われ、捨てられてしまうような安っぽいものではないという気概も感じられました。

ただ、科学者の追い込み漁体験と、科学者であることを書籍のサブタイトルに押し出しているにも係わらず、科学的根拠がある記述は、おそらく一行もありませんでした。(科学っぽい事が根拠になっていると思われる所は何箇所かありましたが、それでも内容に占める割合はごく僅かです。)

特に後半は感情的な文章が散見され、ハクジラ等に多く含まれている水銀の問題や(まるで症状が出ていないから問題ないとでも言いたげな表現には、科学者としての視点が欠けていると思われました)、水族館で飼育されているイルカ類の問題、南極海の調査捕鯨に対する意見など、調べが足りないとか、根拠のない予測(文中で、予測×予測はアテにならないと、ご自身で書いているにも係わらず!)が何箇所も見られたのは残念です。

ただ、捕鯨活動というのがどういう形で行われ、日本にある捕鯨文化がどのようなものか、その概略を知るには十分な内容であろうと思います。
途中に挟まれる、筆者の専門である鯨類の行動学に関したコラムも面白く、雑学として読んでも面白い内容でした。

別にイルカをどうやって喰うと美味いか?を説いた指南書ではなく、捕鯨問題全般を手広く扱った意欲的な書籍であると思います。
捕鯨問題に関心のある方には、ぜひオススメしたいです。

8.16.2010

借りぐらしのアリエッティ、観てきました。


話題の映画、借りぐらしのアリエッティ、観てきました。

割引チケットを使って1000円で観たのですが、定価で観なくて良かったというのが率直な感想です。

以下、ネタバレ含む感想なので、それでも良い方だけどうぞ。






いくらか思うところはあるのですが、今回の映画は、はじめの着想と思われる「借り」と「狩り」をかけたまではよかったものの、その後の発想が続かなくて、すっかり破綻してしまった駄作であるように見えます。

破綻は所どころに見ることができ、中でも一番気になったのは尺度です。
アリエッティは小人という設定で、ラストシーンやその他のおおきさ比較ができそうなもののサイズから、16センチメートル程度の身長を想定しているのではないかと思います。

けれども、その割に「借り」に行く時の足場として使っていた釘や鋲、髪の毛を束ねるのに使っていた洗濯バサミ、ローリエやシソの葉っぱといった周辺オブジェクトとの大きさの尺度が、場面場面によってちがっているのです。

これによって、アリエッティの身長を一定と見れば周辺オブジェクトの大きさがおかしく見え、逆に周辺オブジェクトのサイズが正しいとすれば、場面によって身長を含む、体の大きさがコロコロ変わる、変なキャラクターになり下がっています。

これは、物語の世界観を適当に壊していて、観ていてなんとも形容しがたい、気持悪さを感じました。

次の破綻が、世界の狭さです。
物語は基本的に、床下、少年の部屋、やしきの台所、庭の4箇所で展開されます。
2時間ほどある物語の舞台が、たった4ヶ所です。

しかもそれぞれの舞台が変化に富んでいるわけでもなく、なんて狭い物語なんだろうと思ってしまいました。
アリエッティ達が小人だというのはよく理解できますが、だからといってなんの変化もない、狭い世界を設定する必要は無かったでしょう。
(このあたりは、以前にトイ・ストーリー3を見て、舞台の数は少なくとも、変化に富む様々なシーンを体験したことに起因する感想かもしれませんが。)

三つめの破綻が、物語の意外性の無さです。
物語は一辺倒で、抑揚もなく、感動も、ハラハラも、ドキドキも、何もない、ただの動画のたれながしになっていました。
セリフもそれほど多くなく、はじめは「動画で魅せる演出」なのかとも思いましたが、結局物語が終わるまで、魅せられるシーンはひとつもありませんでした。

ストーリーはすべて「小人が人間に見つかって、引っ越す。」という一言に収まってしまうほどチープで、これでお金儲けをしようとしているのか?と疑いたくなってしまいますし、作品を作っている面々は、知的職人として、本当にこれでお金を取ることに、なんのためらいも無いのだろうか?と感じました。

唯一よかったのは絵での自然界の描写ですが、これはイメージボードなどで楽しめます。
そんなものを楽しませるなら、別にアニメ映画である必要はないです。

トイ・ストーリー3が、定価以上の価値があると思った反面、こちらの日本映画は割引で見ても高いと思わせる作品でした。
これから観ようと思っている方は、なんとなくそんなトコロを注視して見ると、僕の感じたことがわかるかもしれないです。

8.14.2010

やる気おこらなすぎ。

夏季休業中の社会人です。どうも。
引越しに備えて自室の荷物を整理しているんですが、なかなか片付きません。
暑いし。汗はダラダラでるし( ̄д ̄)

そんな訳でネットに逃避しているわけですが、KDE4.5リリースなんていう嫌なニュースを目にしちゃいました。
使っているディストリビューションがSiduxで、デスクトップはKDEで固めているので、しばらくはいつSidにKDE4.5が落ちてくるか、ビクビク怯えながら過ごす日々が続きそうです。(反面、とても楽しみではあります)

それから、引越しに絡んで、DistroFreak含めてしばらく週一更新すら怪しい感じになるやもしれません。
一応お知らせだけしておきます。

久しぶりに見る夢。

夏季休業満喫中の社会人です。

ここ最近は記憶に残る夢なんてのは見なかったんですが、今朝方二度寝中に、とても懐かしい面々が登場する夢を見ました。
社会人になって半年がたとうとしていますが、こうしてたまに、古い知人たちのことを思い返すチャンスがあるのはいいことだなぁと。
そう感じました。

8.11.2010

Siduxで、起動時にIP-CONFIGに失敗するために、起動時間がやたら伸びる時の対処。


先日から、どうもSiduxの調子が悪く、起動時にペンギンが表示され、Loading, please wait...となった後、

IP-CONFIG: eth0 hardware address 00:1e-68:62:e6:4f mtu 1500 DHCP RARP
IP-CONFIG: no response after 2 secs - giving up

ってな具合になってしまい、そのままリトライを数度くり返して、あげくの果てには


IP-CONFIG: no response after 64  secs - giving up

なんて状態に陥り、この為に、これまでならすぐさま立ち上がるSiduxの起動に、かなりの時間を要してしまう問題に悩まされていました。

で、せっかく夏季休業に入ったので、ちょっとこの問題の解決にあたったので、今後のためにメモしておきます。

結論からいえば、nbd-clientをpurgeして、initramfsを再構築してやることで解決しました。
ステップとしては



su -
apt-get remove --purge nbd-client
update-initramfs -d -k 2.6.34-0.slh.11-sidux-686
update-initramfs -c -k 2.6.34-0.slh.11-sidux-686


ってな具合です。
※ update-initramfsに与えるイメージ名は、各自の環境に合わせて調整するべき。(例は32bit環境向、2.6.34-0カーネル向けのもの)

とりあえずこれで、IP-CONFIG云々の処理をすっ飛ばせるようになるので、問題は起こらなくなります。