東響新聞なんかが取り上げていて、一部で話題になっているこのニュース。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010020901000171.html
要約すると
「日本の調査捕鯨で捕獲され、市販されていたミンククジラの肉52サンプルの遺伝子を、遺伝子の変異の多様さから、個体数を推定する手法を使って分析した結果、ミンククジラは増えてなさそうだ」
というもの。
「過去100年ほどの間に3~8倍も増えたとする科学者もいたが、今回の分析はミンククジラが増えたという仮説が正しくないことを示した」と指摘している博士も居るようだけれども、ちょっと待って。
本当にクジラは増えていないんだろうか?
(重要なのは、「増えてない」=「減った」ではないということ。ここで議論するのは本当に増えていないのか?という問題)
私が気になったのは「市販されていたミンククジラの肉52サンプルの遺伝子」という部分。
52サンプルというサンプル数の数もさることながら(ミンククジラの生息域と照らし合わせて、統計的に意味のある、信頼できる数字なんだろうか?たぶん、そんなことはないと思う。)、52のミンククジラの肉が、すべて別の個体のモノであったのかどうかがアヤシイと思う。
52のサンプルのうち、例えばすべてが3の個体から切り出された肉だとすれば、サンプルの多様性は信頼できないものになり、この調査自体、たいした意味を持たないと思う。
そこまで(つまりサンプルと個体数の関係まで)十分に考察した上での結果なんだろうか?
元の論文やら発表を読んでいないから詳しいことは言えないけれども、新聞の記事を読む限りではそう感じる。
(52のサンプル数に対して、その肉を取り出した個体数が極端に少なければ、遺伝子の多様性に論拠を置く個体数推定手法はほとんど意味を成さないのではないかと思う。)
当然、水産庁が示している「餌のオキアミをめぐり競合状態にある大型クジラが減少し、クロミンククジラが増えている可能性」も眉唾物で、調査捕鯨も含めた十分な研究が望まれるとは思うけれども、今回の調査が僕の考えているようなものであれば、IWCなどで取り上げるほど意味のある研究調査結果だとは言えないと思う。
また、調査捕鯨を行った上で「増えていない」のであれば、調査捕鯨を行っても、個体数の現状は維持される根拠にもなり得るだろうから、継続して実測による個体数の調査を行うべきではないかと思う。
せっかく調査捕鯨しているんだから、52サンプルなんて言わずに、もっと多い数のサンプルを使って、日本がこういう研究調査をしたら良いのにと思ってしまった。
(一体いくつのサンプルがあるのかは知らないけれど、食用並に有効な鯨肉の使い道だから、IWCも許してくれると思う。)
科学的な手法で研究された結果なら、それを海外の研究者が出したつきあわせて、それの「確からしさ」を知ることが出来るだろうし、そうして得られた「確からしさ」の高い結果をもとに、捕鯨禁止も含めた捕鯨枠の議論を行えばいいのになぁ。
可能な限り客観的な結果を基に議論するのは、意見の対立する人たちの間で話し合いを行うために、必要な事だと思うんですけど、いかがなもんでしょう。
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