8.19.2011

読書

今月3冊目。

今回読んだのはこちら。

気候変動とエネルギー問題。

著者は金属物理学・材料科学を専門とする科学者。

その科学者が、クライメートゲート事件に端を発する、一連の「人為的二酸化炭素排出量増加による地球温暖化」という、日本ではアタリマエのことと捉えられていた問題が瓦解する様子を、詳細に、かつわかりやすく記述している。

大学では計算機科学を専攻していて、気象問題にも多少なりとも関心のある私としては、クライメートゲート事件は、よくある科学者がパラメータを調整して詐称した事件という認識だったけれども、本書を読んで、いかに根の深い、政治的な策略に満ちたものであったかということをよく知ることができた。

(それと同時に、興味のある分野だと自分で思っていたのに、如何に無学なことかと恥ずかしい思いにもなった)

いつものように結論から言えば、「万人が読んで、行動を起こすべき一冊」といったところで、ここ1年半ほど読書を続けた中で、1,2を争う良書だと思う。

まず、語り口が丁寧だ。

後半の核融合の議論や地球大気の仕組みなどは少し難しいかもしれないが、全編を通して一般的な知識でも理解できるように構成されていて、専門知識を要求してこない所が素晴らしい。

それでいて、一連の二酸化炭素排出量の問題が、日本にどれだけの不利益をもたらしているかを論じ、日本が直面している問題はそこでないことを諭すという形だ。

さらに素晴らしいと思うのが、つぶさに出典を明らかにしていることだ。

内容に疑問があれば、出典を当たれば良いという書き方は実に科学者的であると共に、日本では受け入れがたい議論である「地球温暖化はウソ」という議論について、確かな証拠を提示するものでもあると思う。

この本を読んで真っ先に思ったのが、何か行動を起こさなければならないという気持ちだった。

おそらくこの書籍は、今後何度も読み返すことになるだろうと思うが、まずは最初の出会いの記録として、記事を残しておきたいと思う。

自分の住んでいる国、環境、星に少しでも興味があるなら、ぜひ一読をお勧めしたい。

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