9.16.2010

はやりのミステリを読む。

先日、地下鉄内のモニタでみかけて気になり購入した、江戸川乱歩賞受賞作品、横関大の再会(再会のタイムカプセル)を読んだ。


とても久しぶりによむミステリで、「ηなのに夢のよう」以来のミステリかもしれない。

久しぶりによむミステリだったけれども、久しぶりに読む、ミステリらしいミステリだったと思う。

これから読む方のためにネタバレしないようにするが、気になった点だけ。
・万引き少年の心のケアは?
・圭介の再婚後の家庭は?
・凶器の拳銃は、結局誰が手入れしていたの?隠し持っていた人物に、そんなスキルがあったの?
あたりが、今ぱっと思いつく、気になったポイントだった。

それから、トリックが若干チープかなと思う。
確実性に欠けるというか、偶然が偶然を呼び……と言うような展開があり、ミステリらしい、奇妙な雰囲気を醸しつつも、読み終えたあとの「腑に落ちた感じ」はそれほど強くなかった。

主要な登場人物4人の心情が、代わる代わる描かれていくさまは、「街」や「428」といった、往年の名作サウンドノベルゲームのような感覚もあって、大変面白かった。
この手の演出手法が好きな方なら、確実に楽しめるだろうと思う。

私は、普段は古典的なミステリや売れた(話題になってしばらくたった)ミステリしか読まないので、つまりはそういう熟成されたミステリ作家の作品とついつい比べてしまう形になるが、面白さという点では、それらに遜色ないと思う。

1600円という、ハードカバーならではの高めの値段設定だが、ページをめくりながら、紙の匂いと共にその世界に入っていく、紙媒体書籍ならではの楽しさを、久しぶりに味わった気がする。

そうそう、最後に一言だけ付け加えておくが、仕事が忙しい方にはおすすめしない。
その意味は、是非とも読んで、ご自身で確かめて欲しいと思う。

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