7.30.2011

3DS値下げの話。

ひとりの3DSユーザとして、裾野が広がる可能性があるならば、とてもいいことだと思う。

今日すれ違ったユーザ(メッセージの内容から20代後半以上の会社員と思われる )は、損をしたとかクソ企業とか酷いメッセージを書いていたが、購入したときに高いと思ったならば買わなければよかっただけの話ではないかと思う。

2万5千円の価値がそこにあるから、3DSを買ったのだ。

今企業が小売価格を下げたからと言って、自分にとって2万5千円分の価値のあるデバイスであることに変わりは無いんじゃないだろうか。

それを1万5千円で手に入れられるとなると、「あー。1万円分損した」と思うのだろうか?

自分にとって価格相応の価値があるのだから、小売価格が下がったからと言ってそこに文句を言ったり、ひがんでみたりするのはおかしな話だと、このすれ違いを通して思ったのである。

ただ、この話は子供の視点から見れば別だ。

「僕にとって価値のあるもの」 の尺度がそもそも違う子供は、親にあれほどねだって買ってもらったデバイスが、ねだる度合いとしてはもう少し弱くても買ってもらえる価格帯に落ちてくるとか、そもそも価格と価値という概念が違っている子供にとってみれば、身勝手な大人企業のやり方だと思う子供居るだろうと思う。

任天堂が考えなければいけないのは、そういう子供たちへの補償であり、ケアだ。

先に購入した大人のことなんてどうでもイイ。

どうでもイイというか、大人ならその価値判断が付いているはずで、2万5千円分の価値がある、つまり2万5千円で買って得になると換算して買ったユーザなのだから、二の次三の次の対応で全く問題ないと思う。

私自身、つい先日3DSを買ったユーザのひとりとして、無料のソフトウェア配布なんて無くても、3DSで一緒に遊べるユーザが増えるだけで十分意味のある値下げだと思っているし、3DSは1万5千円なら買っていいと思える人たちが購入に走るわけだから、価値観の相違こそあれど歓迎すべき動きだと思っている。

価格値下げについてはこんなふうに思っているわけだが、その他の点で非常に残念なのは、任天堂自身が3DSが売れないのは価格の問題だと考えているように見える点だと思う。

ハッキリ言おう。3DSが売れないのは新しいコンテンツが無いからだ。

確かにいまの小学生にしてみれば、ゼルダの伝説やスターフォックスは13年も昔の、触ったことのないソフトかもしれない。

しかし、ソフトの内容そのものからは昔臭さを消すことはできない。

それはシナリオだったり、デザインだったり、色の使い方だったり、グラフィックの描き方だったり、言葉の端々に出てくる。そして、ユーザはそれを敏感に感じ取るのだ。

さらに3DSの中では売れているとされるバイオハザードやテイルズオブシリーズも、有名タイトルどころであって、目新しさがない。

裸眼立体視が可能なデバイスであり、立体画像が撮影できるカメラを備え、AR能力を持ち合わせ、さらにはミュージック再生やインターネット接続までこなすことのできる、新しいデバイスでありながら、そこで動くゲームに新しさが無いのだ。

これでは売れるわけがない。

私の周りでは、多くの人が「3DSはマリオ待ち」と話している。

マリオならば、新しさを感じさせてくれるだろうという期待から出ている発言だと思う。

ゲーム開発者はもう一度、自分自身の手で3DSをさわりまくってみるべきだ。

パソコンの前に座って、企画書を書いている場合ではない。それはあとでやることだ。

まずは3DSを触ってみて、どれだけ新しいデバイスであるかを再認識してほしい。そして、裸眼立体視以外の機能にも目を向けて「どんな遊び方ができるか」をまず考えて欲しいと思う。

値下げは歓迎するが、コンテンツが充実しないままの経営戦略的なやり方には疑問を覚える。

3DS値下げのニュースを聞いて、そして今日すれ違った人のメッセージを読んで、そんな風に感じたのである。

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